ご存じの通り日本は少子高齢化で人口は減少の一途をたどっている。それと同時に日本ではある現象がさらに加速しているそうだ。

それは東京の人口一極化である。

私は人生で一度も地元から出たことがないという上級地方民だが、たまに東京へ行くこともある。その際思うことと言えばやはり「人が多い」「ゴミのようだ」「目が」である。

私は平素いつも部屋で一人のひきこもりなため、三人以上いれば「多い」と感じるのだが、錯覚ではなく本当に東京は人が多くて、地方は少ないのだ。

田舎だと、俺たちの生命線「ザ ビッグ」の店内でないかぎり、どんなにボンヤリ歩いていても人にぶつかることは滅多にない。その代わり谷とかに落ちるだけだ。しかし都会でそんなことをしていたらすぐに肩がぶつかって、小競り合いか恋がはじまってしまう。

皆様も知っての通り、現在世界はインターネットの発達により「どこにいても仕事が出来る」という最悪の事態に陥っている。物だって通販により大体の商品は隣家がアマゾンの倉庫としか思えぬスピードで手に入ったりもする。

もはやわざわざ東京に出ようと思う人間は減っているのではないか、と思ったが、全くそんなことはなかったぜ、という話である。今でも、東京で消耗する方が、田舎で腐るよりマシと考える人間の方が多いようだ。

東京の人口集中が良いか悪いかというと、あまり良くない。人口減に加え、それがさらに一か所に集中すれば、地方はさらに過疎化し、限界集落どころか限界県、限界地方と化す。労働力がないので不便さはさらに増し、空き家も増え、一部の都会以外は荒廃の一途を辿るだろう。そんな場所での生活は不便すぎるので、進撃してくる巨人もいないのに都会という壁の中で暮らすしかなくなってしまう。もちろん都会へ行けない人間もいる。そういう者は不便かつ、後期高齢者以上が車を運転しまくる、怒りのデスロードで暮らすしかない。

よって、あの手この手を使って、地方に人を呼び込む政策がされているのだが、イマイチ効果がないというのが現状である。

やっぱり地方は仕事が少ない、女性はさらに厳しい

そもそも何故都会に人が流れてしまうかというと、中央省庁や民間大手企業の本社の多くが東京にあるのが大きいと言われている。

確かに、どこにいても仕事が出来てしまう狂った世の中ではあるが、東京にある会社に入社したければ東京に出てくるのが普通である。よって「この人気企業で働きたい」という希望がある若者は大体東京に行ってしまう。

また地方は雇用も都会より少ないが、就ける職種自体が限られている。漫画家ですら、ひと昔前まで「漫画家になりたければとりあえず上京」という世界であった。転売用商品の列に並ぶだけの簡単なお仕事に就きたくても、田舎ではそのような求人は滅多にないのだ。

今でも「なりたいのなら東京に行くのが最短」な職業は少なくないだろう。地方でもなれないことはないかもしれないが、「遠回り」になってしまうことは否めない。よって夢のある者も東京へ行きがちなのだ。

これでは、夢も希望もない連中しか地方に残らないかのようだが、もちろん、地元に満足し、夢と希望を持って残る者も大勢いる。

ただ私自身が、地元にも居場所はないが東京に行っても野垂れ死ぬことはわかっているので、とりあえず餓死を回避するために地元という名の実家に居座った側なので、そういった、自分に何の希望も抱いていない「絶望組」もゼロではない、とは言っておこう。

また「地方の女は、結婚するか、看護師、教師、山姥になるしか地元で生きる術はない」とも言われている。もちろんこれはオーバーなのだが、田舎の方が職場の男女均等意識がさらに低く、結婚に対する圧が強い傾向がある、というのは否定できない。そこから逃れたくて東京へ出るという女性も多いようだ。

ともかく、地方から東京に出て就職する人間が多い一方で、東京から地方に就職する人間が珍しい以上、人口の集中化は免れない。だから、人口を分散したいなら、省庁や大手民間企業の移転が必要と言われている。

また、利便性においても安易に田舎においでよ、とは言えないところがある。田舎暮らしのメリットと言えば、都会の喧騒を離れ「ゆったり暮らせる」というイメージがあるかもしれない。

確かに、都会に比べれば田舎は静かだ。よく災害前などに「人と明かりが消えた死都新宿」みたいな写真がツイッターにあがって話題になったりするが、田舎はあれがデフォルトである。つまり田舎は基本的に夜は死んでいる、都会に比べて娯楽は圧倒的に少ない。

娯楽がないぐらいなら良いが、交通など生活必需な部分も都会に比べて不便である。まず田舎で働くには車の購入が不可欠な場合が多い。

東京ならギターケースに夢だけ詰めて片道切符で行けてしまうかもしれないが、田舎でそれをやるとまず「駅周辺に何もない」「そもそも駅が無人」という事態に直面する。帰ろうと思っても、下手をすれば21時台に終電が終わっているのだ。

小手先対策で東京一極集中が解消すると思うなよ

何でもある都会と違って手ぶらでは行けないのが田舎である。よって、Iターン者や、地方就職者へ一時金を出すなどの施策をしているようだが、田舎に住むということは最低でも一生車を買い続け、維持しなければいけないので、一時金だけでは不足だ。ちなみに賃金も都心に比べて田舎は安い。

そして、車必需の地方で、「免許返納が推奨される年になった時どう生活したらよいか問題」も解決しているとは言いがたい。老後は田舎でとは言うが、むしろ老後は車を持つ必要がない都会に行った方が良い気がする。今さら、人口が減少一方の地方に都心並みの交通網や設備を作るのも難しいだろう。

地方から出たことがない私ですら「みんな地方から都会に行こうとする」と言われたら「そりゃそうだろう」というのが正直な感想である。

では、それでも何故都会に行かないかというと、やはり「都会でもやっていける気がしない」からだ。つまり、自分に希望を見出せない人間は、地方にいようが都会にいようが大差ないということである。

よって都会の「絶望組」の方は地方移住を考えてみてはいかがだろうか、部屋から出なければ都会も田舎もそう変わりはないし、水道水が美味い。